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学校法人 浦山学園

「ひきこもり70万人」、724日読売新聞のトップ記事です。予備軍155万人を含めると225万人になるが「今後さらに増える可能性がある」と分析しています。冨山県の人口の倍ぐらいの若者が「ひきこもり」「ひきこもり予備軍」状態となっているきっかけの主な理由は、「職場に馴染めなかった」「就職活動がうまくいかなかった」「病気」「不登校」「人間関係がうまくいかなかった」などで、30歳代の働き盛りが46%を占めました。今回の調査は、回答者が「社会的に自立」しているかどうかに着目したということですが、調査対象の15393880万人の5.8%が「ひきこもり」或は「ひきこもり予備軍」という調査結果は、日本(人)として憂慮すべき問題と思います。「ひきこもり」の理由のほとんどは「自分の思うようにならない、ならなかった」ということのようです。しかしながら今日の日本社会は、混迷の度合いを深める政治や経済社会、忌わしい事件が多発する不安定で厳しい社会の局面にあり、若者達はこのような困難な社会状況に向き合っていかねばなりません。「成功者」と思われる人たちも失敗と成功、劣等感と自信、自己嫌悪と誇りが交錯する日々を重ねていると聞きます。自分の運命は自分で切り開く以外にはあり得ません。「四苦八苦」しながらいろんな壁を乗り越えていくしか「生きる力」即ち「自立」は備わらないことを家庭教育でしっかりと教えることが重要です

一方で、生活習慣の乱れや各種メディアの浸透、社会全体の規範の低下など、親と子を取り巻く環境の変化とともに、家庭や親の教育力の低下があります。過保護・甘やかせ過ぎ・過干渉・しつけや教育に無関心など、親心が十分に育まれていない親が増加しています2000年の調査で「子どもを持てば、親は子どもの犠牲になるのも止むなし」と答えた世界の親の平均は72.6%であったのに対し、日本の親は38.5%73ヵ国中72番目でした。

「大卒10万人行き場なし」、ひきこもり報道の2週間後、86日の読売新聞で大きな記事となっていました。約60万人が毎年卒業しますが、17%も就職出来ない事実は学生当事者にとっても日本社会にとってもその改善策が急務となります。2004年、日本経団連は「企業が求める人材像と実際の学生に対する評価」の調査発表をしました。コミュニケーション能力・粘り強さ・発想力について期待と現実とのギャップが最も大きいことが確認されました。これらの能力をどのようにしたら若者が発揮できるか、家庭・学校・企業などがそれを認識し、互いに連携しながら対応していくことが求められています。

江藤淳氏や堺屋太一氏は「人は礼節や魂を失いかけると不思議と身の回りや言動が粗野になる。戦後の60年は物質的な豊かさを得て日本人としての礼節の文化や日本(人)の魂を失った」と述べました。礼節の文化や日本(人)の魂は、日本(人)の「道徳意識」にあるということを新渡戸稲造氏は著書「武士道」で記述しています。新渡戸稲造氏はアメリカ人であった奥さんや諸外国の人々にそれを伝えたいと思い、「武士道」を上梓したと伝えられています。前述したコミュニケーション能力・粘り強さ・発想力は、他国からも尊敬された、日本(人)の「道徳意識」の復活が鍵になるような気がします

全ての教育機関が基本と法律を教育基本法といいます。驚くことに、昭和22年に施行された教育基本法には「道徳(心)培う」という項目が全くありませんでした。昭和60年前後(1985年前後)までは日本はまだ世界から規範意識や道徳意識が高い国として尊敬されていたことが多くの著書(中里至正氏 東洋大学教授・河上亮一氏 日本教育大学院教授など)で感じることが出来ました。しかし、枚挙にいとまがないほどの昨今の忌わしい事件や社会化現象を見ると、良き日本(人)の面影が国内外でなくなりつつあります。60年振りに改正された教育基本法(平成18年12月施行)の第2条1項に教育目標として「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」、と「道徳心を培う」が明記されました。また、10条1項には「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るように努めるものとする」とあります。「道徳」の基礎や「自立」の基礎が家庭においてつくられるようになれば、「職場と馴染めない」「人間関係がうまくいかない」ような時においても、そのような壁を乗り越えようとする「生きる力」も備わることにつながります。親が変われば子も変わります。教員が変われば学生も変わります。「家庭の教えで芽を出し学校の教えで花が咲き社会の教えで実がなる」。家庭・学校・企業などの連携をより一層緊密にしていけるような教育活動を実践躬行していきたいと思います。

2010年10月20日 |

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