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理事長の部屋

理事長の部屋 ~N0.50

「教職員のための保護者クレーム対応マニュアル」という本が出版されました。「モンスターペアレントが増えだした背景は単純ではない~~かつて指導者は強い信念を持ち、無理や無駄、ムラ を厭わず、人間育成には惻隠の情を持って生徒や保護者、地域社会に奉じていたが、そのような指導者が今こそ必要であり、今後の意識改革が急務である ~~」。これは、この本を監修した東京都私学財団の理事長や私立小学校連合会の会長のコメントです。

また、大阪府など、モンスターペアレントに対応するマニュアル作りを実施している地方自治体も増えています。

このようなマニュアルが必要なくらいに学校と保護者の間に問題が目立つようになった背景はなんでしょうか。

ひとつには、教育を"教育サービ ス"と捉えた"消費者"意識が高まったことがあると思います。高い授業料を払っているのだから、教員は親や学生のいうことに耳を傾けることは当然とする意 識は否定できません。なぜなら私たちは、教育付加価値を高めるため、学生・保護者や企業・社会の「声」に応えることが大変重要だと思っているからです。

ただし、一般のサービス業と学校 の相違点は、学生が求めていないものまでサービスするところにあります。「専門知識を高める勉強をする」「目標を持ち意欲を高める」「社会のかかわりを積 極的に持てるようなコミュニケーション能力を高める」「規律ある生活習慣を身につける」などなど、学生達="消費者"がそれ程快適に思わないことを次から 次と話し、やらせ、評価します。学生達に応じてこのように快適ではない"壁"を巧みに計画し、実行させ、一緒に振り返りながら次の"壁"に挑戦させること で、学生たち="消費者"にいつの間にか"力"="満足度"がついていきます。

モンスターペアレントの次はモン スターピープルが出現しました。それは、事件事故と無関係にも関わらず警察に連絡があった相談や要求が昨年一年間で95万件もあったということです。「雨 が降ってきたので家に送って欲しい」「旅行に行くので犬に餌をやってほしい」「朝早く家を出るので、自分の家の前だけ除雪して欲しい」などなど、"身勝手110番"は毎年増加傾向にあります。

学校教育は教育基本法に則り実践躬行します。その基本法は平成18年12月に、このような忌わしい局面にある日本社会を憂い、60年ぶりに改正されました。旧法が、徳育に一切言及しなかったのに反し、新法は愛国心、愛郷心の重視と「徳育の強化」を明記しました。そして第2条 の教育の目標に「豊かな情操と道徳心を培う」と書き、前文に「公共の精神を尊ぶ」と明言されました。しかしながら、改正教育基本法が「徳育の強化」を要請 しているのに、中央教育審議会は未だに「学校の徳育は遵法の精神を教えれば足る」との意見に終始し、その後の進展が見えません。国が決定した「徳育」を中 央教育審議会が「遵法」に刷りかえること自体が「遵法」の精神に背くものではないでしょうか。

身勝手な日本人・モンスターピープルがこれ以上増えないようにするためにも、家庭と学校と企業が連携を強化し、より良き社会の形成に自ら貢献できるようにお互いの研鑽を積みたいものです。

2008年5月23日 | 理事長の部屋 |

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