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学校法人 浦山学園

 『最近の日本では、一般的に、物質的 な面に傾いていると言われますが、その結果、皮相な「進歩」に目を奪われ、「伝統」や「文化」の重みを見失うことがあります。「伝統」という基盤があるか らこそ、初めて「進歩」が積み上げられるのであり、伝統なくして真の進歩など、ありえないのです』。これは、台湾の李登輝前総統が9月に予定していた訪日 を延期したのに伴い、講演の原稿全文を産経新聞に掲載した一部です。李登輝前総統はこの中で、台湾統治を教育から始めた日本の植民地政策を、『世界にも例 がない』と評価し、『台湾人は日本教育を通じて世界の新思潮を知った』と指摘しています。目覚しい発展をしている台湾の原点は、「日本の教育」であったと も言えます。

 2006年は「教育の大乱」といっても過言ではないぐらいに、学力低下・いじ め・自殺・未履修などに始まり、おかしな社会になったと異口同音に聞かれるほど、日本は大きく揺れました。その中でどうにか決議された教育基本法改正には 安堵しました。李氏の指摘した「伝統と文化」も明確に教育目標に明記され「我が国と郷土を愛する」という文言も明記されました。そもそも、自国や郷土を愛 することが出来ない国(民)が発展する筈もないと思いますが、何故この議論に10年以上もかけなければいけなかったのか、本当に不思議な国だなぁ~と言う のが率直な感じです。

 李氏は、「進歩」と「伝統」「文化」を築いたのは「武士道精神」であるとし、次 のようにも指摘しています。『日本の文化は大陸などからとうとうと流れ込む変化の中で、驚異的な「進歩」を遂げ続けてきたが、結局、それらの奔流に飲み込 まれることもなく、日本独自の伝統を立派に築き上げてきました。日本人には古来、そのような希有なる力と精神が備わっているのです。~中略~ では、日本 文化とは何か?私は高い精神と美を尊ぶ心の混合体が日本人の生活であると言わざるを得ません』。驚いたことに李氏は、あの日本人の精神を書いた新渡部稲造 の「武士道」を解説した、「『「武士道」解題』の著者でもありました。『武士道とはかって日本人の道徳体系でした。それがやがては日本人の行動規範とな り、生きるための哲学にもなりました。具体的には、武士道精神は公の心・秩序・名誉・勇気・いさぎよさ・惻隠の情・実践躬行を内容にしつつ、日本人の精神 として生活の中に深く浸透していったのです』と、李氏は言っています。

 「進歩(利便性)」を求め続けるためにも「伝統や文化(精神性)」を高める必要があることは必然のようですが、日本人の精神である武士道精神を忘れかけていることは、今日のおかしな社会の局面を見れば否めないと思います。
では、どのようにすればいいのか?
これまで学園では、「富山親学フォーラム」を5年間実施してきました。毎回、多くの方々に参加していただき、参加者の方々からも今の家庭教育や学校教育の多くの問題点をいただいてきました。
その解決策の一端を具体化し推進するため、『親学』研究会(主査は明星大学教授の高橋史郎先生で10人のメンバー)の一員として一年程かけて研究してきた『「親学」の教科書』と『「親学」アドバイザーの手引き』が4日前に刊行(PHP研究所)されました。

 次年度からはこの教科書を活用した「親学講座」を展開していく予定です。
「親学」とは、親や、これから親になる人々に、親として学ぶべきことを伝えるものです。親になるための教育なんて必要か、と思われる向きもあるかもしれま せん。長い歴史の中で、子どもを産み育てることは、家族や社会にとってごく自然な営みであり、あえて学ぶものではありませんでした。しかし、急速にすすむ 核家族化や、地域のつながりの希薄化に伴い、子育てに必要な情報を得るのが難しくなってきています。結果、これまでは、家族代々の智恵として祖母・母など から受け継がれ、地域の習慣や伝統に根づいたものであった子育ての方法が、うまく伝わらなくなってきているのです(伝統や文化が基本となる日本人の精神が うまく伝わらなくなってきているのです)。

 そこで、親学は、親のための学びの場を提供します。親学を通じて、親としての自覚を深め、親としての成長を目指します。
また、近年顕著である少子化や核家族化によって親子の関係は大きく変化し、親子の密着や過干渉、また逆に育児放棄などが深刻な問題となって現れてきました。親学は、こうした大きな問題にも対応していきます。
さらには、親学を学んだ人が、親学を実践し、自らの成長を、子どもに、学校に、地域にと照射していくことによって、社会をより良い方向に変えていくことを目指しています。この「親学」講座が、忘れかけている日本人の精神の復活につながることを目指したいと思っています。

 自分を治め・家庭を治め・そして郷土や国を治めるようになれる人材を輩出できるように、浦山学園は、「家庭教育と学校教育=日本の力」に挑戦します。

 2007年もより一層宜しく御願い致します。

2006年12月30日 |

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